仙山線と夏の山寺

北日本周遊記④  [山寺観光ー仙台]

[初日(土曜日) 横浜ー仙台 その4]

・山寺駅-山寺-山寺駅 [15:03-17:00]



さて、駅を一通り見た後、徒歩で直接山寺・立石寺へと向かうことに。
山寺の入り口とされる「登山口」まではわずか500m弱しか無く、道もゆるやかでアクセスは大変良い。鉄道旅行では駅から先、観光をするのに苦慮することが多いから、この近さは大変助かる。

お坊さんが描かれた立ち看板の観光案内を見つつ、最初の通りを右に、橋が左手に見えてきた辺りで左に、そして渡り終えた後は再び右に、落ち着いた観光商店が並ぶ道をゆるゆると登り歩く。するとすぐに山寺の登山口が見えてきた。

山寺の登山口山寺の登山口と奥の細道

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15時09分、「登山口」に到着だ。仙山線の車窓からもちらりと見えたが、ここからは文字通り山に位置する山寺の奥之院を目指して、ひたすら登り続けることになる。

山寺の階段案内

知りたくなかった付加情報 事前情報として登山口から奥之院までの階段の段数も記しておく。
約1000段、時間にして40~60分ほど。ステップが違うので真っ当な比較では無いが、462段を誇る土合駅と比べても中々だ。

15時11分、意を決して登山(?)開始。まずはウォーミングアップとばかりに数十段を登る。

山寺の根本中堂

階段を上がった先にあるのが根本中堂。ブナ材を用いた日本最古の建築物で、中には比叡山から分灯された「不滅の法灯」が収められている。詳しくは省くが、比叡山が焼き討ちにあい法灯が断たれた際、この立石寺の火を比叡山に送り戻すことで「不滅」を守ったエピソードが有名である。

道を左に折れ、宝物殿や念仏堂を横目に進むと山門だ。(芭蕉の句碑もこのあたりに有るのだが、今回は見過ごしてしまった)

山門から先は入山料が必要となる。料金は大人300円と、懐に優しいのが嬉しい。

山寺の登山道は石畳

山門から先はいよいよ山中へと入っていく。…とはいえ道は整備された石畳と均一な階段なので、歩くのにはさほど苦慮しない。

ー8月の終わりとは言えまだまだ夏真っ盛り。関東は地面に蒸されるような暑さだったのに対し、この山寺の中は半袖だと冷やりと感じるほど涼しい。抜けるような涼しい風が通り抜け、空気も大変綺麗だ。これでこそ来た甲斐があったと言うものだろうー

順調に歩を進めていくと、芭蕉の有名な句「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」がしたためられた短冊が収められた記念碑「せみ塚」がある。(写真ナシ)

「奥の細道」によると芭蕉は当時この山寺に来る予定は無かったが、人々に進められるようにして、山形県の尾花沢より引き返して来たとされている。
一行の到着時、日こそ暮れていなかったものの、お堂の扉は閉められており、既に夕刻だったと考えられている。静寂の中に蝉の声だけがする、まさにしみ入るような情景だったのだろう。

山中に位置する仁王門

風雨の侵食により仏の姿に見えるようになったという弥陀洞を過ぎると、仁王門だ。
時刻は15時30分。登山口から20分程度でここまで来たことになる。(案内図では目安30分)

ちょうど中腹辺りに位置するこの仁王門には春紅葉として知られる「ノムラモミジ」が植わっており、5~6月は葉が真っ赤になり大変きれいなんだそうだ。

11月前後の紅葉の時期はもちろんだが、春にもまた見に来たいものだ。

開山堂と納経堂崖の上に建つ開山堂と納経堂

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ペースを落とさずぐいぐい登っていくと、徐々に山が開けて開山堂と納経堂が見えるようになる。開山堂・奥之院はそれぞれ分かれ道になっており、ひとまず先に奥之院へと行くことにした。

山寺最奥部にある奥之院
時刻にして15時40分。最高地点の奥之院に到着だ。
人もまばらで、サクサク歩いて30分程度で登りきってしまったが、紅葉の時期は混雑で大変そうだ。

奥之院の付近にはミニチュアのような三重小塔(重要文化財)や鐘楼があるので、どちらも見逃さないようにしたい。

奥之院からの景色

ふと、ここで「急いで戻れば16:16分の仙山線の列車に間に合うんじゃないか?」などと思ったが、急いだところで意味がない(今日は仙台止まり)のを思い出し、もう少しゆっくりと見ていくことにした。

一端来た道を戻り、先程の分岐点へ。右に曲がって開山堂・納経堂、そして五大堂へと向かう。

山寺の納山堂

山内で最も古い建造物である納経堂

登りの途中でちらりと見えた納経堂の横を通り、奥へ。

分岐道の最奥地にある五大堂は切り立つ岩の上に張り出すようにして建てられており、山寺随一の景観スポットとして知られている。(写真中央部に小さく写るのが五大堂)

山寺の五大堂からの景色

標高にして400m近い五大堂からの景色は素晴らしく、奥羽山脈の山々や谷間に沿うようにして出来た街並みの眺めは圧巻と言っても過言ではないだろう。
息を切らしながらやってきた多くの観光客も、張り付いたように景色を眺めていた。

仙山線がまるでミニチュアのようだ
眼下の仙山線や道路はまるでミニチュアのようだ。

しばしその景色を楽しんだ後、この五大堂のさらに奥に、少しだけ足を運んでみることにした。

立入禁止の立て札

五大堂の入り口と反対方向、山側に向かったすぐ先にある山道である。
一見、なんの変哲もないけもの道のようで、正に「修行の場所」なのであるが、実は昔、この先にとんでもないアトラクションがあったとされている。

…というのも、今となっては確認のしようが無いのだが、1950年頃から1970年台頃まで、この五大堂付近からふもとまで下山用の滑り台が伸びていたらしく、その名残…と言うか跡地が残っているのだそうだ。

この高度からふもとまでの山間を抜ける滑り台…果たしてどんな乗り心地(?)だったのだろうか…。気になるところではある。

ーさて、話を戻そう。

一通り参拝し終えたので、このあたりで下山することにした。
時刻は16時20分。次の仙山線の列車は17時13分発だから、ゆっくりと戻っても大丈夫だろう。

行きはよいよい帰りは…とは良く言ったもので、ガードレールのない下り道は中々スリリングだ。時間はあるから、行きに見落としてしまっていた箇所を確認しながら下山していく。

立石寺本坊

時刻にして16時40分頃、山門を出、当初来た道と反対側(山門向かって左側)へ歩き立石寺本坊にたどり着く。
この本坊は山寺全体の管理や催事を行う中核施設なのだが、参拝ルートからやや外れているために観光客も少なくひっそりとしている。
ーしんみりしていて良いじゃないか。

さて、ここが実質的な山寺参拝のゴール地点であるから、後は下山口の階段を降り、駅へと向かうだけだ。小腹がすいていたので、駅への道中で名物の力こんにゃく(玉こんにゃく)を買いつつ、来た道を戻る。


・山寺駅 [17:00-17:13]

山寺駅の駅舎

夕暮れが似合う山寺駅。
構内の和風な待合室では既に何名かの観光客が待機していた。


・仙山線 [山寺ー仙台]

仙台17:13発ー山寺18:16着 E721系 834M

山寺駅と仙山線

下りの列車もE721系電車だ。行きとは異なり普通列車で、仙台までの各駅に停まって行く。
車内はボックスシートがほどほどに埋まっている程度。完全に空のボックス席が無かったので、ボックス横の2人がけの座席にちんまりと座る。

仙山線については前回の記事であらかた書いてしまったから、改めて特に書くことは無いだろう。(本音を言うと作並辺りから仙台手前まで爆睡してしまい、何も書くことが出来ないのだ…)

18時16分、定刻通り仙台駅に到着。ふらつく足取りでエスパル内の荷物を回収し、宿泊地へ。本日は仙台市内で宿泊だ。

青春18きっぷ・北海道&東日本パスによる北日本周遊記、1日目は無事終了。
明日は奥州・平泉方面へと向かう!

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